第5章 助動詞に突入しました。
助動詞とは、第1章で勉強した通り、
動詞の前に置かれて、
「できる」「でしょう」「かもしれない」など
話し手の判断や気持ちを付け加える品詞です。
can,will, may, mustなどがあります。
気を付けなければいけないのは、
助動詞がある場合は動詞は必ず原形というルールです。
○He can drive.
×He can drives.
その中でも、最初はcan/couldから見ていきましょう。
can/could
以下のような意味があります。
能力(能力や技能がある)
=be able to 動詞の原形
例:She can speak English very fluently.
「彼女は英語をとても流ちょうに話すことができる」(現在)
=She is able to speak English very fluently.
例:I couldn't understand what he said.
「彼が言っていたことを理解できなかった」(過去)
例:We can deliver the products within two days of your order.
「ご注文から2日以内に商品をお届けできます。」
"can"と"be able to 動詞の原形"の使い分け
基本的には両方とも「~できる」という意味で同じですが、
どちらかというと"can"の方が一般的です。
しかし"be able to動詞の原形"は
いろいろな形にできて便利です。
≪未来≫
〇I will be able to speak English next year.
「来年に英語が話せるようになるだろう」
×I will can speak English next year.
≪want to≫
〇I want to be able to speak English.
「英語が話せるようになりたい」
×I want to can speak English.
≪have to≫
〇I have to be able to speak English.
「英語が話せるようにならなければならない」
×I have to can speak English.
"could"と"was/were able to 動詞の原形"の違い
どちらとも「~できた」という過去の意味ですが、
ニュアンスが違います。
couldは過去の一般的な能力を表します。
例:My grandfather could speak 5 languages.
「私の祖父は5か国語話せた」
一方、was/were able toは
過去のある特定の一回の行為ができた
というニュアンスです。
例:The fire spread through the buiding very quickly,
but fortunately everyone was able to escape.
「火はあっという間に建物に回ったが、
幸運なことに全員逃げることができた」
例:We didn’t know where Eric was, but we were able to find him in the end.
「エリックがどこにいるか分からなかったが、最終的に見つけることができた」
もっと比較してみましょう
例:Mike was an excellent tennis player when he was younger.
He could beat anybody.
(=he had the general ability to beat anybody)
「マイクは若いこと素晴らしいテニス選手だった。誰だって倒すことができた」
(能力があった)
例:Mike and Pete played tennis yesterday. Pete played very well, but Mike was able to beat him.
「マイクとピートは昨日テニスをした。ピートは上手だったが、マイクはピートを倒すことができた」
couldは過去の一般的な能力
was/were able toは過去の特定の一回の行為ができた
というニュアンスです
そして、覚えておいてほしい違いがこれ…
couldは単に「~する能力はあった」
→実際にしたかどうかは述べていない
例:He could run a full marathon.
「彼はフルマラソンを走る能力はあった」
→実際に走ったかどうかは不明
was/were able to動詞の原形は
「~する能力があり、実際にした」という意味です。
例:He was able to run a full marathon.
「彼はフルマラソンを走ることができた」
→実際に走った
例:I could have a good time.
「私は楽しい時を過ごすことができました」
→実際に楽しい時を過ごしたかは不明
むしろこの文章は
「楽しい時を過ごすことができたはずなのに・・・」
という感じが伝わります!
この文章、日本人が日本語から直訳して言ってしまいがち!
気を付けて!
例:I was able to have a good time.
「楽しい時を過ごすことができました」
→実際に過ごすことができた
(「楽しい時を過ごすことができた」と言いたい時は、
"I had a good time"でいいよ)
couldは「~する能力はあったが実際にしたかどうかは不明」
was able to は「~する能力があって実際にした」
です。
が・・・例外があります(Sorry!)
知覚動詞(see, hearなど)や理解を表す動詞(understandなど)は
couldで「~する能力があり、実際にした」という意味になります。
例:From out hotel room,
I could see the lake
「私は彼が見えた」
例:I could understand what he said.
「私は彼が言ったことが理解できた」
可能「~できる」
(能力ではなく状況から判断して「できる」という意味)
例:Don't worry. I can visit you this afternoon.
「大丈夫、今日の午後会いに行けるよ」
例:I can be reached by cellphone.
「携帯電話で連絡がとれるようにしてあります」
可能性・推量「ありえる、可能性がある」
例:It can happen to you.
「君にも起こりうるよ」
例:Oh no! This cannot be true!
「えー!本当なはずがない!」
例:You could hurt somebody.
「誰かケガをさせることもありえるよ」
※過去ではない
例:This story could be true, but I don't thik it is.
「この話は本当である可能性もあるけれども、私はそうは思わない」
※過去ではない
注意!could=canの過去ではない! couldはcanの可能性の低い版!
以前、過去時制を解説したとき、こう説明しました。
「過去時制は現在とは切り離された」感覚。
過去時制は実は「過去」を表すだけでなく、
「心の距離」「確信度」も表します。
過去時制にすることで、
事実とは「切り離された」感覚になり、
「確信度が低い」ことが表現できます。
※couldが過去の意味になるのは一つ目の●の「能力」の時だけ
許可・同意「~してもよい」
例:Can I ask you a question?
「ひとつ質問してもいい?」
例:You can't tell anybody.
「誰にも言ったらダメだよ」
依頼「~してくれませんか?」
例:Can you tell her that I will call her tomorrow?
「彼女に明日電話すると伝えてくれませんか?」
例:Could you help me?
「手伝っていただけませんか?」
過去時制は実は「過去」を表すだけでなく、
「心の距離」「確信度」も表します。
過去時制にすることで、
事実とは「切り離された」感覚になり、
「心の距離感」の遠い感じを表します。
なので、
Can you help me?より、過去時制の
Could you help me?の方が、
心の距離感がある=
親しくない関係ではない=
丁寧な表現
というわけです。
※→canよりcouldを使うほうが丁寧
※couldが過去の意味になるのは一つ目の●の「能力」の時だけ
canを用いた慣用表現
・cannot be too careful
「どんなに注意してもしすぎることはない」
例:You cannot be too careful driving in the snow.
「雪道を運転する時は、注意してもしすぎることはない」
・cannot help but do
=cannot but do
「~せざるをえない」
例:I cannot but regret the money I wasted on the movie.
「その映画に無駄遣いしたお金を後悔せざるをえない」
例:I cannot help but overhear your conversation but I think he is right.
「あなたたちの会話が聞こえちゃったんだけど、彼が正しいと思うよ」