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【高校英文法をやり直したい人必見】「受動態」の基本を丁寧に解説!

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今日からは受動態(受け身)を勉強します。

受動態の基本

これまで習った文章は

「主語(S)が〇〇する。」という文章でした。

(能動態と呼びます)

例:Tom invited me to the party.
「トムが私をパーティーに招待した」

 

 

一方、受動態(受け身)は

「主語(S)が〇〇される。」という文章です。

 

受動態は動詞が

be動詞+過去分詞になります

例:I was invited to the party by Tom.
「私はトムにパーティーに招待された」 

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 詳しく見てみましょう。

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能動態の文章は
「多くの人々が彼を愛している」という風に
主語(文の主役)は「多くの人々」でしたが、

受動態の文章では
主語(文の主役)は「彼」になり

「彼は多くの人々によって愛されています

という文章になります。

「~によって」という風に、
その動作が誰によってなされるかを表したい時には、
基本的に
(例外もあるってことです。後で説明します)
by ~とします。

しかし、受動態の文は
あくまでも主語がメインで、
誰によってなされるのかは重要ではないので、
by ~はしばしば省略されます。

 

 

それでは受動態の文の作り方を見てみましょう

受動態の作り方

時制を変える

時制を変えるには、be動詞の部分をいじります。

〔現在〕He is loved by many people.
「彼は多くの人に愛されている」

〔過去〕He was loved by many people.
「彼は多くの人に愛された」

〔未来〕He will be loved by many people. / He is going to be loved by many people.
「彼は多くの人に愛されるだろう」

 

疑問文にする

疑問文にするときは、普通のbe動詞の文章と同じようにbe動詞を主語の前に持って行きます。

例:Is he loved many people?
「彼は多くの人に愛されていますか?」

-Yes, he is, / No, he isn't.(noってひどい!笑)

 

否定文にする

否定文にするときも、
普通のbe動詞の文章と同じように
be動詞の後ろにnotを置きます。

例:I'm not often invited to parties.
「私はしょっちゅうパーティーに招待されない」
(悲しい!)

 

助動詞と使う

助動詞と一緒に使う時は、
助動詞+be動詞+過去分詞になります。

例:Death penalty should be banned.
「死刑制度は禁止されるべきだ」

*death penalty【名】死刑

(penaltyのアクセントは第一音節のpeの部分にあります。これ、よく試験に出るよ!)

**ban【動】禁止する

例:Successful candidates will be contacted within three days.
直訳「成功した候補者は3日以内に連絡がとられるだろう」
→「採用者にのみ3日以内に連絡します」

*candidate【名】候補者

例:An application form can be downloaded on our website.
直訳「申込用紙はウェブからダウンロードされることができる」
→「申込用紙はウェブからダウンロードできます」

 

完了形にする

完了形にするときは、
have/has +been+過去分詞になります。

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例:This magazine has been loved for many years.
「この雑誌は長年愛されてきた」

例:Are you going to the party? -What? I haven't been invited.
「パーティー行くの?」
「は?私招待されてないんだけど!」

 

進行形にする

進行形にするときは、
be+being+過去分詞になります。

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例:Death penalty is being discussed in the U.S now.
「死刑制度が現在アメリカで議論されている」

例:Lots of new houses are being built in this town.
「この町では、たくさんの新しい家が建設されている」

動名詞の場合

動名詞にするときは、
being+過去分詞になります。

例:I don't like being told what to do.
「何をすべきか言われることが好きではない」
→「指図されるのが嫌い」

例:I don't like being treated like a kid.
「子ども扱いされるのが好きではない」

 

句動詞の場合

take care of「~の世話をする」や
put off「延期する」などの
句動詞(動詞と前置詞などが一緒になってひとつの動詞になるもの)でも
もちろん受動態にできますよ。

例:I was taken care of by my grandma.
「私は祖母に世話された」

↑take care ofのofとbyが重なってof byとなっているのが変な感じがするかもしれませんが、気にしない!

例:The game was put off by the organizers.
「試合は主催者によって延期された」

↑put offのoffとbyが重なってoff byとなっているのが変な感じがするかもしれませんが、気にしない!

(変な感じがするから試験にも出るかもね!)

 

by~を使わない場合

行為主が重要ではない場合、
by~なくていいです!

例:I was mugged!!!
「ひったくられた!!!」
 *mug【動】ひったくる
※この文章はby~「~によって」と言う必要がないですよね?
犯人が誰か知り合いだったとかならまだしも、
いちいちby someoneとか言う必要がないので、by~は要りません。

例:French is spoken in many countries.
「フランス語が多くの国で話されます」
※by peopleとかいちいち言わなくてもいいので省略!

例:Criminals are arested every day in this area.
「この地域では毎日犯罪者が逮捕される」
※by the policeとかいちいち言わなくても分かるので省略!

◎by以外を使う場合

「~によって」=by~ではない

「~によって」という動作主を表すには基本的にby~ですが、

↑さっき書いたように、例外もあります。

例:His name is known to everybody in this school.
「彼の名前はこの学校のみんなに知られている」

例:This piano was covered with dust.
「このピアノはほこりで覆われていた」

例:I was filled with love.
「私は愛情で満たされていた」

 

◎by以外の前置詞とよく使われる受動態

例:Michael Jackson is known as the King of Pop.
「マイケルジャクソンはキングオブポップとして知られている。」

例:Oita is known for its hotsprings.
「大分は温泉知られている(で有名だ)」

例:This desk is made of wood.
「この机は木できている」

例:Tofu is made from soy beans.
「豆腐は大豆からできている」

f:id:chachachambo:20170511091818p:plainmade ofとmade fromの違いは?f:id:chachachambo:20170511091818p:plain

どちらも似たような意味ですが、

made ofは見た目で明らかに材料が分かる場合、素材のままの場合
例:This desk is made of wood.

f:id:chachachambo:20191003155952p:plain

↑の例文でも、机は見た目で材料が木と分かるのでof。
made fromは素材が変化している場合、形が変わっている場合(液体が個体になど)。
例:Tofu is made from soy beans.

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↑豆腐は、大豆の形からは変わっているのでfromです。

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以上が受動態の基本です。

 

そもそも、どんな時に受動態って使うの?

 

ネイティブスピーカーは、一般的に
受動態より能動態が好き
なぜなら、能動態のほうがストレートで明快だから。

つまり、
ネイティブがわざわざ受動態を選ぶ時には、
なんらかの理由があるのです。

受動態が使われる理由

行為主ではなく行為の受け手に話者の視点を置くため

基本的に、話者の視点は主語に集まります。

The teacher scolded the student. 
先生がね、生徒を叱った」

 

一方、scoldという行動の受け手に焦点を当てたい時に受動態が使われます
The student was scolded by the teacher.
生徒がね、先生に叱られた」

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行為主が不明、言う必要がない、隠したい

English is spoken in Aouth Africa.
「英語は南アフリカで話される」
この文は、きっと
南アフリカの人々が行為主なのでしょうが、
言う必要がない。
だから受動態を使います。


Posters for the concert are put all over the town.
「コンサートのポスターが町中に貼られている」

この文も、
「誰が」ポスターを貼ったのかを言いたいのではなく、
「貼られる」という行動自体や
「ポスター」という行動の受け手に
焦点を当てたいので受動態が使われています。

 

The final draft should be handed in by Friday.
「最終案は金曜日までに提出されるべきだ」

この文は「あなたが提出すべき」と言うこともできますが、
あえてyouを出さない(つまり隠す)ことで
口調が和らげられた印象が伝わります。

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客観的な印象を与えるため

例えば、上司に
I already put the documetns on the desk.
と言うといかにも
「私が置いたのよ!私!私!」と
自己アピールが強すぎる印象なので、
それを避けたい時に受動態が使えます。

The documents are already put on the desk.
「書類はもう机に置いてある」

にすると「私!」に焦点を当てるのではなく、
冷静に書類について話すことができます。

 

例えば
I suppose that the number will decrease in 5 years.
「5年以内にその数は減る、と私は思っている」

と言うと、
「あくまでも あなたの予想でしょ?」
と思われてしまいます。

そこで受動態を使うことで
客観的な印象
を与えることができます。
It is estimated that the number will decrease in 5 years.
「5年以内にその数は減ると見積もられている」

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引き起こされた結果に注目をひかせるため

So many people were washed away by the flood.
「その洪水で多くの人が流された」

「洪水が流した」というよりも
引き起こされた結果(多くの人が流されたこと)

に注意をひきたい時は受動態を使います。

洪水という原因よりも
結果をクローズアップ
しているニュアンスが読み取れます。

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新情報を文頭に置きたくないから

英語には

新情報(会話に初登場の情報)は文の後ろのほうに置く

というルールがあります。

旧情報(会話に既に出てきたなじみの情報)新情報

の順で文を組み立てると、読み手(聞き手)にとって親切です。

日本語でもそうです。

次の2つのパターン、どちらが読みやすいか比べてください。

パターンA:

私たちの町には新しい公園がある。
その公園には大きな噴水がある。
その噴水をデザインしたのは高橋さんだ。

 

パターンB:

新しい公園が、私たちの町にある。
大きな噴水が、その公園にある。
高橋さんが、その噴水をデザインした。

 

どうでしたか?
パターンBのように、
新情報が文頭に来ると、不自然ですよね?


新情報の赤に加えて、
旧情報(既に会話に登場した情報)を青にしてみます。

パターンA:

私たちの町には新しい公園がある。
その公園には大きな噴水がある。
その噴水をデザインしたのは高橋さんだ。

 

パターンB:

新しい公園が、私たちの町にある。
大きな噴水が、その公園にある。
高橋さんが、その噴水をデザインした。

 

やはり

旧情報 → 新情報

の配置のほうが落ち着きます

 

というルールが分かったところで、
先ほどの3つ目の文章を英語にしてみましょう。

△ 新情報旧情報
Mr. Takahashi desighed the fountain.

〇 旧情報新情報
The fountain was designed by Mr. Takahashi.

新情報であるMr. Takahasiはやはり文末に置くのが
しっくりきます。
なので受動態を使うのです。

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きっと学校の授業やテストでは

 

次の文を受動態に書き換えなさい

と言われ、生徒の皆さんは
能動態⇒受動態に書き換えるわけですが 、
決して書き換えた文が
全く同じニュアンスの文になるとは限らないというわけです。

なので、学校の授業でやるであろう
機械的な書き換えだけしてもダメということです。

 

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